介護施設で老化とバイタルサインの関係をまとめた

どんな時にバイタルサインを測定するか
- 入浴の支援前
- 発熱時
- 血圧が異常な時、不安定な時。
- 痰絡み、咳嗽 、咽頭痛等の風邪症状や誤嚥を疑うとき
- 脱水や膀胱炎などの症状の悪化が予測されるとき
- 利用者の不調の訴えや、不調を疑う兆候が観られたとき
- 転倒・転落などのアクシデント時
- 内服薬変更後や内服薬の効果、病状の判断材料、医療職の指示時
バイタルサインの重要性
- 利用者固有の生命兆候
- 急変=予測し得なかった事態
- 病状の増悪を予測出来れば対応が準備できる
- 重症化すると必ず、バイタルサインに異常をきたす
- バイタルサインの評価は、利用者の異常や病状悪化の予防や早期発見に不可欠
バイタルサインとは生命兆候のこと
生きていることを示す身体状況のこと。
生きているか、死んでいるかを判断するのは、大方は外見の観察で可能だが、どんな状態か(良い状態か、注意した方が良い状態か)を判断するには、数値で早急に判断することができる。
※何を数値化するか?
血圧、脈拍、呼吸、体温、意識レベル
血圧を測るときの禁忌事項
- シャントをしている腕は禁忌
- 乳癌の手術で、リンパ郭清しているほうの腕
- 麻痺がある人の麻痺側(健側で測定)
血圧とは
- 拡張期血圧(下)は、心臓が拡張した時にも大動脈の中には血液が満たされており、常に血液は送られて血圧が形成されているから血圧が維持できている。
- 動脈硬化で大動脈などが固くなって血管が拡がりにくくなると血液を満たす量が減るため、収縮期が高くなって、拡張期が低くなる。
血圧の正常値
- 正常血圧:120以下/かつ80以下
- 正常高値血圧:120~130/かつ・または80以下
- 高値血圧:130~139/かつ・または80~89
- Ⅰ度高血圧:140~159/かつ・または90~99
- Ⅱ度高血圧:160~179/かつ・または100~109
- Ⅲ度高血圧:≧180かつ・または>110
- (孤立性)収縮期高血圧:≧140かつ<90
血圧が低いときの対処
- 下肢を挙上することで、お心臓や頭部への血流が維持でき、一時的に下がった場合などの意識消失などの改善が図られる。
血圧が高い時の対処
- 頭を高くするのは絶対条件ではないが、安静にすることで血圧が安定することを目的として対応したりする。
- 興奮したりする原因がある場合は、原因を排除する必要がある。(不眠など)
平均血圧と脈圧
- 正常血圧:120以下/かつ80以下(脈圧40)
- 平均血圧は高齢化に伴い上昇する傾向(平均的に、収縮期も拡張期も同じように上昇)
- 脈圧は、大動脈の伸縮性がなくり、血管内に血液を保持する量が減ると脈圧が増大し、拡張期血圧が低くなる。(心臓病や脳卒中になりやすい)
脈拍(1分間測定)
- 心臓の収縮の数
- 橈骨動脈で3本の指で測定する。
- 緊急時は、15秒測定し、4倍するか、30秒で2倍の数値にする。
- <59は遅い>91は速いと判断する。
- <50以下は徐脈>100は頻脈と判断。
- 高齢者は、安静時60~80位が目安。
- 高齢者や副交感神経が働いている時は遅くなる。
脈拍の異常
- 心疾患・不整脈では少なくなる。
- 体温が1度上昇すると、8~10回/分程度多くなる
- 頻脈は、発熱、貧血、心不全、甲状腺機能亢進症でみられる
- 徐脈は、心疾患、頭蓋内圧亢進、甲状腺機能低下、薬剤の副作用でみられる。
体温
- 腋窩検温法で腋窩に45度の角度で下方から挿入
- 麻痺のある人は、健側で測定。
- 正常体温:36℃前後(35℃以下:低体温)
- 微熱:37℃~38℃ 高熱:38℃以上
微熱・高熱時の対応(すぐ再検査する)
- まず、他の症状を観察(体熱感・風邪症状・室温・こもり熱)
- 原因を考える(水分は摂取できているか、尿の正常は?)
- 情報を元に報告とクーリングを開始する。
- 37℃~38℃:頭部1点クーリング
- 38℃~39℃:腋窩を加えて2点クーリング
- 39℃前後:悪寒後の高熱時:鼠径部も含めて3点クーリング
- 悪寒・戦慄があつときは、温め、体温が上がりきったタイミングで冷やす
- 解熱剤使用は、看護師指示が必要。
呼吸の観察
- 1分間の数(12~20回)
- 睡眠中は少なめ、発熱時は多めになる。
- 深さとリズムがおかしかったら報告(数が少なく意識がはっきりしない、呼吸が早すぎる)
- 危篤状態の時は、無呼吸やチューンストークス呼吸が生じる。
- 雑音は、丹がらみや肺炎などの呼吸器疾患で聴かれる。
SPO2(経皮的酸素飽和度)
- 末梢までの血液循環が正常に保たれている場合に、全身に酸素がどのくらい行き渡っているかの目安とする。
- 95%以上確保できていれば正常範囲
- 施設には高齢者が多いため、常の値を基準にしている場合もある
- 浮腫や貧血がある場合はほぼ参考にならない場合が多い
- 末梢循環不全(特に冬場の低温時)がある人は、測定できない場合は多い。